日本文学科

内藤 千珠子

内藤 千珠子 (ないとう ちずこ)

プロフィール

近現代の小説を対象とし、ジェンダーとナショナリズムの関係をテーマに研究しています。物語のしくみを考えていくと、物語を成り立たせる差別の問題に出会わざるをえませんが、なぜ物語が差別の構造を含みもつのか、女性身体や植民地、帝国、境界の表象を通して考察してきました。

小説の言葉は、見えにくい物語の制度を、目に見える姿として描き出し、わたしたちの日常を縛るのとはちがった世界像を手渡してくれます。そうした文学の魅力と可能性について、考え続けていきたいです。

主な著書・論文

  • 『「アイドルの国」の性暴力』(新曜社、2021)
  • 『〈戦後文学〉の現在形』(共編著、平凡社、2020)
  • 『愛国的無関心――「見えない他者」と物語の暴力』(新曜社、2015)
  • 『田村俊子』(共著、ひつじ書房、2014)
  • 『小説の恋愛感触』(みすず書房、2010)
  • 『帝国と暗殺―ジェンダーからみる近代日本のメディア編成』(新曜社、2005)

担当科目 (シラバスを参照してください)

  • 全学共通科目
  • 日本文学科現代文学関係科目など
 ※ 講義内容は次のリンクより、シラバスページにアクセスし、教員名で検索してご確認ください。
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ゼミの紹介

教員から

思考のスタイルをみつけること。このゼミでは、それぞれが自分のテーマをとおして「考える力」を身につけるために、発表者と聞き手との間で、深みのある議論が交わされています。自らの考えを言葉にして発表し、他者の声を聞き、拾い上げ、ときに葛藤しながら、自分を壊して学ぶ体験を積み重ね、自分らしい卒業論文を作り上げていく時間です。
3年生と4年生が批評的な意見をやりとりしあいながら、学年の隔たりなく、少しずつ親しくなっていけるように心がけています。
ゼミでの学びと交流をとおして、近現代の文学を読むことと、いま自分が生きて在ることの意味とをつなぐ言葉を手に入れてほしいと願っています。

学生から

  • 現代・近代文学から映像やマンガまで幅広く、毎回さまざまな作品・考え方・知識に出会え、世界が広がります。
  • ジェンダー論など現実社会と関連する方法論を多く用いているので、ふと見た映画やテレビなどのなかに、テクストの中に見た問題があることを発見することがあります。そんなときは、テクストの枠をとびだすような気がします。
  • 個性豊かなゼミ生に会える木曜日は、学校に向かう足取りも軽くなります。
  • 楽しみながら興味のあることにとことん向かい合えるゼミです。誰に頼まれなくても全力で発表に臨む風土があり、互いに影響を受けながら向上心を持って成長できます。

過去の卒論タイトル

  • 深層の非対称(アンビバレント)―田村俊子『あきらめ』に潜む境界線を読む
  • 白の表象とエキゾチシズム―谷崎潤一郎『痴人の愛』論
  • 彷徨からの解放―尾崎翠『第七官界彷徨』論
  • 女の身体をめぐる暴力性―川上未映子『夏物語』論
  • 笑わないアイドル―松田青子『持続可能な魂の利用』が描く「私たち」の革命