日本文学科

久保 堅一

久保 堅一 (くぼ けんいち)

プロフィール

『竹取物語』や『源氏物語』を中心に、主に平安時代の物語文学を研究しています。作品のことばや表現を分析し、丁寧に読解することを試みながら、同時に、作品どうしの繋がりや、漢詩文・漢訳仏典の受容について明らかにすることも目指しています。物語文学や仮名文学はいかなる背景や基盤によって創造されたのか、そして、どのような主題が継承されていったのか、といった問題を考察することが近年の課題です。

主な著書・論文

  • 「『竹取物語』と仏伝」(『中古文学』第77号、2006年6月)
  • 「『今とりかへばや』宰相中将論―薫の執着の継承―」(『国語と国文学』第88巻第4号、2011年4月)
  • 「「ありがたの世」を嘆く男たち―『源氏物語』蜻蛉巻の薫の位相―」(『文芸研究』第173集、2012年3月)
  • 「『源氏物語』東屋巻の結婚譚と『白氏文集』「議婚」―「雨夜の品定め」の裏側の世界―」(『国語国文』第81巻第11号、2012年11月)
  • 「手習巻の浮舟の回想と『源氏物語』続篇終盤の世界―蜻蛉巻の薫との照応に着目して―」(『むらさき』第51輯、2014年12月)
  • 「翁まろの涙―『枕草子』「上に候ふ御猫は」の段と堕畜生譚―」(小山利彦・河添房江・陣野英則編『王朝文学と東ユーラシア文化』武蔵野書院、2015年10月)
  • 「『竹取物語』の仏教・神仙思想」(曽根誠一・上原作和・久下裕利編『知の遺産シリーズ1 竹取物語の新世界』武蔵野書院、2015年10月)
  • 「須磨の馬の嘶き―光源氏・宰相中将の交友場面における白詩「傷友」の受容―」(『和漢比較文学』第58号、2017年2月)
  • 「〝龍のくびの珠〟を求める話―『竹取物語』求婚難題譚と戒律―」(『文学・語学』第221号、2017年12月)
  • 「二人のかぐや姫 『栄花物語』巻第六「かかやく藤壺」の彰子と定子」(高橋亨・辻和良編『栄花物語 歴史からの奪還』、2018年10月)
  • 「〝仏の御石の鉢〟と〝卞和の玉〟」(『日本文学』第69巻第8号、2020年8月)

担当科目 (シラバスを参照してください)

  • 全学共通科目
  • 日本文学科中古文学関係科目など
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ゼミの紹介

教員から

『源氏物語』『落窪物語』『枕草子』など、平安時代の文学を卒業論文の対象とする学生が学ぶゼミです。ゼミ発表や討論をとおして研究の方法を学びながら、作品を丁寧に読む姿勢を身につけることを基本としています。

平安文学は〝みやび〟〝華麗〟といったイメージで捉えられがちですが、実はその内実は多様で、どれもこれも読み応えのある作品ばかりです。何しろ約千年も前の文学なのですから、解明されていないことも多く、容易に結論が出ないこともしばしばです。でも、だからこそ研究しがいがあります。ことばや表現の分布、本文の揺れ、史実との交渉、漢籍・仏典の受容など、様々なアプローチを試みながら真摯に作品と向き合えば、必ずや時を超えてその作品の魅力を感じられる、充実した時間が訪れます。ゼミ生たちには、授業をとおして基礎を学びながら、自ら積極的に作品を読み込み、自分のことばで平安文学ならではの魅力について語れるようになることを期待しています。