倉住 薫 (くらずみ かおる)
プロフィール
柿本人麻呂の作品を中心に万葉集の表現を研究しています。 研究は、本文校訂・訓読の確定といったある意味地味な作業から始まりますが、ひとつひとつの〈ことば〉に込められた〈こころ〉を読みとっていくことに興味がつきません。相聞とは、挽歌とは、季節の歌を詠む〈こころ〉とは……
また、万葉集と同時代の古事記・日本書紀・風土記なども、当時の社会制度や状況そして物語を伝えてくれる重要な文学作品であると考え研究しています。歴史書や地誌として捉えられがちですが、とても魅力的な神様や人々が活躍する物語も多く存在しています。
さまざまな人の〈こころ〉を揺さぶる人麻呂の歌や万葉集の魅力に迫っていきたいと思っています。
主な著書・論文
- 『柿本人麻呂-ことばとこころの探求-』(笠間書院、平成23年1月)
- 「初期万葉一〇一・一〇二番歌の解釈 ―実ならぬ「玉葛」という景―」(「大妻国文」42号、平成23年3月)
- 「古事記「比売多々良伊須気余理比売」の出自と注記の意義」(「大妻国文」44号、平成25年3月)
ゼミの紹介
教員から
上代文学のゼミでは、万葉集や古事記・日本書紀・風土記など、日本の最も古い文学作品を研究しています。
現代と1300年以上隔たった上代の世界は、まだまだ分からないことだらけです。例えば、古事記の語り出しである「天地初発」は、どのように訓読するのか、日本の創成はどのように語られているのか……いまもまだ決着がついていません。
こう書くとなにやら難しいばかりのわからないことだらけのように思われるかも知れませんが、古事記や日本書紀には、大げんかをしてしまう神さまたちや、浮気をして奥さんに嫉妬されてばかりの天皇など、人間味あふれる物語がたくさんあります。古典の中の女性と言えば、待つばかりで受け身と思われがちですが、万葉集では、男たちに腹をたてた女性が大胆な歌を詠んだりもしています。
現代や古典の常識が通用しないことがあるのも、上代文学の魅力です。作品と向き合うということは、自分が培ってきた了見や価値観が問われ、覆されることでもあります。用例分析や当時の状況を理解しながら、自由な発想で作品を解釈していって欲しいと思っています。
学生から
私達、倉住ゼミはゼミの時間に一人ひとり必ず発言する、参加型のスタイルです。発表の司会も学生が務めます。聞いているだけでは退屈になってしまう時間も、「何がわからないか」「自分はどう感じるか」という考える力を養う時間になります。発表者も様々な質問や意見を参考に、より研究内容を掘り下げる機会になります。
研究対象は『万葉集』『古事記』が多いです。倉住先生は上代文学に広く精通しておられ、参考になる論文を紹介して頂いたり、わからないことを丁寧に教えてくださいます。
また、新歓とゼミ合宿の企画、幹事を四年生が務め、追いコンを三年生が務めます。「自分たちで全部やる」ことは簡単ではありませんが、必ず自分たちにとってプラスになります。
ここ数年でゼミ生が増え、和気あいあいとゼミ活動を行っています。
過去の卒論タイトル
- 『古事記』における天照大御神の性格
- 上代文学における土蜘蛛
- 万葉難訓歌考―巻一・九番歌について―
- 上代わに論考
- 大伴坂上郎女の月の歌三首―九八三番歌を中心に―