来たる2月13日に行われる草稿・テキスト研究所2024年度研究集会において、吉川信教授が「ラフカディオ・ハーンの7枚の草稿」というテーマで講演を行います。吉川教授といえばご専門は近・現代イギリス・アイルランド小説。現在は日本ジェイムズ・ジョイス協会の会長を務めています。本講演のテーマであるラフカディオ・ハーンとの関連を含め概要を教授に伺いました。
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日本で「小泉八雲」の名で知られるLafcadio Hearnは、アングロ=アイリッシュの軍医チャールズ・ブッシュ・ハーンと、ギリシア人女性のローザ・アントニア・カシマチとの間に生まれました。チャールズは英国軍医、ローザはその英国軍が駐留していたギリシアのキシラ島の娘です(「蝶々夫人」や「ミス・サイゴン」を思い出せばよいでしょう)。その後二人はギリシアのレフカス島に移り、息子が生まれます。「ラフカディオ」は「レフカディオ」の間違いでした。
チャールズは従軍後故郷アイルランド・ダブリンに妻を連れて帰りますが、英語のわからないローザは精神を病みギリシアに戻り、チャールズもまた、つぎなる戦地に向かいます。両親に捨てられ、父方の大叔母に育てられたラフカディオは、幼少期をダブリンで過ごし、イギリスの学校教育を受け、20歳前にアメリカに渡りジャーナリストとなりました(ですから『アメリカ文学史』にも登場する作家です)。ジャーナリストとして日本にやってきたのは40歳のときでした。最後の14年間を日本で過ごしたわけです。そして、父を憎んでいた彼は、父と同じことができませんでした。妻の姓を名乗り日本に帰化した理由、とも考えて良いでしょう。
彼は(ご存知のとおり)日本で数多くの作品を執筆しました(もちろん英語で)。その手書き草稿を、本学の草稿・テキスト研究所が入手しましたので、今回はこれを解読・解説いたします。
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約20年前、トリニティ・カレッジ・ダブリン客員教授時代にハーン没後100年記念イベントにおいて現地で講演して以来、世紀転換期のハーン文学も専門領域に入ってきたそうです。今回は本学入手の手書き草稿を中心にした講演となります。今年度末をもって退職される吉川信教授の最終講義にもなります。皆様のご参加を心よりお待ちしております。
【日時】2月13日(木)15:00~16:30(14:30受付開始)
【場所】千代田キャンパス F棟542講義室
【講師】文学部英語英文学科 吉川信教授
【参加費】無料
【参加方法】本学学生・教職員は直接会場へお越しください。その他の方は、事前に受付フォームにてお申し込みが必要です。
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