先生の本、読みました?~第一回 金ヨンロン先生~        (教員著書紹介)

みなさんこんにちは。

まりもまりりんです。

日本文学科の13人(教員紹介)もひとまず一周し、新しくお迎えした先生方もご紹介でき、これからどんな情報を発信していこうかと思い悩む助手さんを横に、まりりんが一肌脱ぎまして、先生方のご著書の紹介をしていこうと立ち上がりました!

そもそも、事の発端は今回ご紹介する本の著者、金先生が「ブログでこの本を紹介してください!」と共同研でお話していらっしゃったことがきっかけでした。

タイトル「先生の本、読みました?」題字は小井土学科長にお願いしました。
です。(某BSテレビにて放映された、本を紹介する番組へのオマージュ(になるのか…?)。)

ご紹介するにあたって、お忙しい助手さんに代わりまりりんがお話を伺ってまいりました。

ー金先生、今日はよろしくお願いいたします。
今回ご紹介する先生の2023年11月に刊行された最新のご著書『文学が裁く戦争ー東京裁判から現代へ』(岩波新書)について、少しお話を伺いたいと思います。

https://www.iwanami.co.jp/book/b635086.html

ー先生は昨年、大妻女子大学に着任されましたが、この本を書き始めたのはいつぐらいからなのですか?
大妻にいらっしゃった後からのことなのでしょうか?

このテーマで研究を始めたのは、博士論文の執筆が終わってすぐです。2017年からですね。口頭発表や論文などを通して、少しずつ研究を進め、ある程度考えがまとまるようになり、単行本にしようと思って出版社に連絡したのは、2021年ですね。そこから編集者と打ち合わせを重ねながら執筆しました。

ー2017年から!そうだったのですか。では大妻にいらっしゃるだいぶ前から取り掛かっていたテーマの集大成なのですね。

ー今回のご著書は、7月の国文学会例会「再審としての再現――日本文学のなかの戦争裁判」のご発表内容も大きくかかわっているのですか?

7月の例会で発表をした時点では、本書は書き終えて、校正に入った段階でした。
本書は、戦争裁判を描いた日本文学について、時代ごとに概観しています。本書が刊行されてからは、戦争犯罪や暴力の問題を一つひとつ、丁寧に、思想的に掘り下げたいと思い、7月の例会では、その一歩として、「捕虜問題」を取り上げました。

ー例会の発表で、本学の先生方から受けた質問も、本にまとめられる際に思い出したりしましたか?

すでに校正に入った段階でしたので、これからやっていきたいテーマで学内で発表をし、先生方にアドバイスをいただいたことになりますね。今後、先生方の貴重な意見を活かして研究を進めてまいりたいと思います。一時間半たっぷり捕虜と文学の話ができるなんて、贅沢な時間で、かけがえのない時間でした。

ーたくさん質疑応答があり、オンラインだけでなく対面でも多くの学生の参加があった良い例会発表でしたね。あのころはもうこの本をまとめて直しにかかっていたのですね。先生方は、最新の研究を学生さんたちにお伝えして、本にして…と活躍を余すところなく教えていらっしゃり、学ぶ者にとってはすばらしい環境です!

ーあとがきのところに「大妻女子大学(メディア文化演習)2020-2021年度の授業で戦争裁判を描いた難しい作品を一緒に読み、
戦争と暴力を防ぐにはどうすればよいのか、真剣に考えてくれた学生たちに本書を届けたい」と書いていらっしゃいますが、
授業中の学生の意見や質問、反応で印象に残ったことはありますか?
2020年度といえば、完全にオンライン授業だったころですよね?この授業は2021年度もオンラインで?

おっしゃる通り、コロナ禍で行われた「メディア文化演習」という授業は、2020年度はオンライン(zoom)で、2021年度は、対面だったと記憶しております。オンラインもリアルタイムだったので、学生たちが積極的に議論に参加していましたし、対面の時も丁寧に読んで活発な議論となりました。戦争と暴力と法というテーマもテーマですが、シラバスに書いてある作品に、例えば、大岡昇平『ながい旅』など戦争裁判の記録もあり、学生が集まらないのでは、と予想していましたが、意外と来てくれました(笑)。しかも、発表者はもちろん、参加している学生も作品をしっかり読んできてくれて、「もし自分が同じような状況に置かれていたなら、理不尽な上司の命令に従わないで、抵抗することができたのだろうか」と真摯に考えてくれました。
作品を読む際に、どのあたりが難しかったのか、学生の感想が聞けたのも、今回、一般の方々をも想定した「新書」を書くうえでとても大事な経験でした。

ーそうですね。「新書」という形式であることは、研究者ではない方にも手に取っていただける可能性がふえますから、学生の意見、感想が生かせてありがたい時間でしたね。

ー本を作るうえでとても大切な存在、編集者さんとのやり取りで、思い出深かったエピソードなどありましたか?

今回の本を執筆するにあたって、一章ずつ、完成する度に、編集者の方にお送りすることで、締め切りのようなものを設け、計画通りに刊行するよう心がけました。「新書」は初めてでしたので、その都度得られたコメントによって、書き方も変わってきて、「新書」っぽく(?)なったように思います。改めて、書籍を刊行することは、編集者の方との「共同作業」であることを身にしみて感じました。

ーさすが編集の方!「新書」っぽく仕上げられるようにアドバイスをくださるのですね。
書いているのは先生。けれど、後ろにたくさんの人々の力添えがあって、成り立つのが「本」なのだな、と感じますね。

金先生、どうもありがとうございました。


新書なので、お手頃な価格です。ぜひ本屋さんに行って、先生の本を探して購入してみましょう。読んでみて、分からないことがあったら、金先生に質問してみましょう。大妻にいるメリット、ともいえます!

次回はどなたの本を紹介しましょう…。

お楽しみに!                        まりりん

2023.12.12