国立台湾大学(台湾)留学体験記

国立台湾大学(台湾)留学体験記   杉浦 莉子

 

私は高校時代から、異文化を肌で感じたい、中国語を学びたいという強い思いがあり、中国留学を夢みていました。大学一年生の頃、中国留学に向け準備を進めていたところ、中国における新型コロナウイルス感染拡大の影響で、留学中止が決定されようとしていました。そこで、同じ中国語圏で比較的安全だと言われていた台湾の状況を入念に確認し、留学先を台湾に変更できないか、大学側に相談し協議を重ねました。その熱意が大学側にも伝わり、台湾留学への道が開かれました。航空券の手配や台湾の大学の手続きや寮の確保については、大学と旅行代理店の協力も得られ、無事に台湾留学が実現しました。

コロナ禍での留学二ヶ月目、授業の継続が危ぶまれ、留学プランが不透明になりました。中国から台湾への急な留学先変更によりノービザで渡航したため、三ヶ月で一時帰国しなければなりませんでした。しかし、コロナ禍による入国制限で、台湾への再入国が難しい状況でした。私は、これらの問題も自己の成長の良い機会であると前向きに捉え、行動することにしました。まず、台湾政府の窓口機関に足を運び、拙い中国語でビザに関する情報収集に努めました。突然変更される政府の情報をいち早く正確に集め、台湾と日本双方の大学に掛け合い、今後の留学プランを立て直すことができました。やむを得ず一時帰国し対面授業に参加できない時期は、オンライン授業で個別に対応していただき、再渡航後も進度の遅れなく無事一年間の留学を完遂することができました。

私は、留学が継続できることに感謝し、現地では積極的に交流するよう努力した結果、多くの外国の友人という貴重な財産を作ることができました。クラスメイトや日台交流会、国立台湾大学本科生の友人と夕食を共にしたり、一人旅をしたりと、有意義な日々を過ごすことができました。台湾は親日の方が多く、日本文化を共有することができ、嬉しかったです。留学をする前の私は、似通った環境の中で育ってきた人と主に関わってきました。しかし、様々な国の幅広い年代の留学生と交流をした際、環境や宗教、政治などに関する価値観の異なる意見に触れることができ、人は多種多様であり、互いを尊重し合うことの大切さを学びました。私は、多様性に満ちた世界の素晴らしさを肌で実感し、世界が抱える問題や格差にも目を向けられるようになりました。世界各国の留学生との交流は、刺激的で知見が広がり、コミュニケーション能力の向上や異文化理解に繋がりました。

一方、語学面に関しては、少人数クラスで発言しやすい環境であるため、先生の丁寧で的確な指導のもと効率よく中国語が上達しました。また、週に一回行われる単元テストの平均が7割以上でないと進級できないこともあり、テスト勉強は怠ることなく取り組みました。帰国後も先生と度々連絡を取っており、理解が難しい中国語表現などを教えていただいています。成果として、挨拶レベルであった中国語能力が東京オリンピックボランティアの中国語圏選手への記者会見で、通訳を任されるほどになりました。

台湾留学経験を経た現在では、どのような状況下に置かれても、解決策は一つでないことと、自己の成長を図れる良い機会であることを忘れずに、常に前向きに考え行動することを自己の規範としています。今後も、時代の変化に臨機応変に対応しつつ、挑戦し続けていきたいと考えています。

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