杉浦 静 (すぎうら しずか)
プロフィール
日本近代の詩や童話を中心に研究活動をしています。中心になっているのは宮沢賢治の心象スケッチや〈詩集〉への生成論的なアプローチです。そのほか、山村暮鳥や室生犀星についての関心もあります。また、現代詩では、一九五〇年代から六〇年代詩人たちについての興味もあります。古い雑誌や草稿を手にしながらの研究は、とても楽しいものです。
主な著書・論文
- 『宮沢賢治 明滅する春と修羅』(蒼丘書林、1993・1)
- 『新校本宮澤賢治全集』全16巻(筑摩書房、1995~)
- 『新編宮沢賢治歌集』(蒼丘書林、2006)
- 『現代詩大事典』(共編、三省堂、2008)
- 『戦後詩誌総覧』(共編、日外アソシエーツ、2007)
- ちくま学芸文庫『図説 宮澤賢治』(共編、2011)
- 『コレクション 宮沢賢治』全10巻(編集 筑摩書房、2016~)
- 「宮沢賢治とダルケ-散文「ダルゲ」から口語詩「ダルゲ」へ」(『文学』2016、1・2月号 岩波書店)
- 「文語詩〔われはダルケを名乗りしものと〕の生成」(「言語文化」2017・3、明治学院大学言語文化研究所)
- 共編『宮澤賢治コレクション』(全10巻、筑摩書房2016~2018)
ゼミの紹介
教員から
ゼミ担当教員の専攻が宮沢賢治学であることもあって、本ゼミの学生のみなさんの研究テーマも宮沢賢治に関わるものが多い傾向が続いていました。賢治と言えば、「銀河鉄道の夜」や「風の又三郎」を思い浮かべる人が多いと思いますが、本ゼミでも同じで、ほとんどの学生が、宮沢賢治の童話論を卒論に取り上げようとします。そのほかでは、高校の教科書教材でもある詩「永訣の朝」を入り口にして賢治の宗教について考えようという人もいます。また、「雨ニモマケズ」の宗教性を研究したいという人もいました。最近は、宮沢賢治以外の詩人にテーマを設定しようとする人も増えてきています。草野心平や中原中也、現代詩人の谷川俊太郎・茨木のり子などの詩を研究しようという人もいます。
このゼミでは、どんなテーマ選択も原則自由です。ただ、自分が一度でも何か感じた作品や作家を選んで、じっくりと読むことからしか始まらないことだけは確かです。
学生から
杉浦先生の担当するゼミは、やはりテーマに宮沢賢治や詩人を選ぶ人が多いです。でも、まったく違う、村上春樹やよしもとばなななどの現代作家や、小野不由美というファンタジー作家を選ぶ人もいます。よく見ると、最近は宮沢賢治より、それ以外の人を選ぶ学生の方が多くなっているみたいです。わたしたちのゼミは、結構人数が多いです。先生は、「濃密な指導をうけたいなら古典を専攻しなさい」とよく言いますけど、一人一人の発表へのコメントは意外とキツイです。前半は主に4年生が、後半は3年生が、中間報告をします。みんなで作品や論文を読むというスタイルではないですけど、人の発表を眠いのを我慢しながら聞いていると、勉強になります。あまり、議論が盛り上がることはないですけど、たまにワイワイ言いながらになると、燃えたりします。
過去の卒論タイトル
- 女子のいない物語-賢治童話におけるジェンダー
- 食べる賢治
- るんるんるるんぶ-草野心平の蛙とオノマトペ
- 西條八十-煌めく死のイメージ
- 宮沢賢治と絵本の世界-美しいいゝ本